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2012年6月19日 (火)

第67幕/果てしなき探索者

 その日までの数週間は、全世界がひとつのニュースで沸き返っていた。
 数年前に火星へ送り込んだ無人探査機が、砂漠の真ん中で明らかに人工物と思われる直径1mほどのドーム様のガラス状物体を発見したのが数ヶ月前。
 
 

 老朽化し廃棄寸前だった探査機のニュースは、聴く人にセンチメンタルな空想を描かせた。

 内容の重大さに異例の特別計画が持ち上がった。次の火星〜地球の近地点までまだ間があったが、予定を繰り上げて探査機の緊急帰還が決定されたのである。
 あらゆるマスコミが特番、特集を組んだ。およそ無関係なジャンル、業界もこぞってこのブームに便乗した。
 擬人化キャラクターは勿論、火星での孤独な活躍を描いた映画やアニメが何本も制作公開されて大入りを記録し、続編として帰還プロセスの制作が決定した。

 数々のトラブルにもめげず、苦労の末に探査機が無事に戻って人類に時ならぬ感動をもたらしたのが10日前。以来、冷めやらぬ興奮に世界中がそれ一色だった。だが今、テレビに映し出されているのは、どのチャンネルも都会を破壊し続ける大怪獣のリアルな映像である。

 現実だった。飛び交う攻撃機、撃ち込まれる無数の砲弾、ミサイル、避難する人々、破壊された街の様子、怪獣の進行予想図、そして政府関係者の記者会見───
 ビルよりもはるかに巨大で、昆虫とも爬虫類ともつかない “それ” が暴れ回る映像が加わってなければ、どこかの国の戦時報道特番だった。

 大怪獣は4日前に火星探査計画本部のある軍事施設内に突然現れた。
 その巨大な姿にもかかわらず、人類が宇宙に向け続けている科学の眼も、他国に対する猜疑心の耳も全く無力だった。彼が地球に近づく気配に気付く者はなかったのである。
 しかも過去の無数の目撃譚やSF映画に登場するような巨大な宇宙船もなく、日本の特撮に出てくる『宇宙人』そのままに、単身、どぉん、と地響きと共に二本足で基地の滑走路に降り立ったのである。

 そしてオオアリクイのようにその巨体にしては小さすぎる眼らしきもので周りを睨め回しつつ、声ともノイズともつかない音を発し始めた。
 のちに“歌”と呼ばれる20分ほどのそれは、周囲の建物を割れんばかりに振動させながら一定のパターンをもってえんえんと繰り返された。
 他に何をするでなく、巨大な生物はそれを日が暮れるまで根気よく繰り返したのち、ハタとやめたかと思うと、そのままの姿勢で一夜を過ごし、朝が来るとまた繰り返した。

 明らかにメッセージだった。大騒ぎを起こしているのがグロテスクな巨大生物でも、この知的とも取れる行動には戦争を好む大国といえども軍隊を動かせない。
 急遽世界からネットを介して様々な専門家たちが動員され、この不意の訪問者の発するメッセージから正体や目的を解明すべく必死の努力が続いた。
 同時に余計な刺激を与えない為にマスコミや野次馬にも厳しい管制が敷かれたが、いつの時代、いずれの土地でも狂信者や妄想に支配されて暴走する輩はいる。そんな連中が徒党を組み異星人を怒らせるのに時間はかからなかった。

 一転して怒り狂った異星人──それはもうただの怪獣だった──は、巨大な腕を交互に振り回しながら、草を薙ぎ払う様に手当り次第に周辺の建物という建物を破壊しまくった。これが2日前。
 帰還した探査機と人類史を揺るがす発見物は異星人来襲と共にシェルターに緊急避難したが、逆に出るに出られなくなってしまっていた。
 奮戦も虚しく、多国籍軍は一瞬の足止めすらできなかった。

 すでに歌ではなく、悪態なのか、腕で地面をなぎ払うたびに、ひとつの単語だけを忌まわしげに繰り返しながら破壊行為を続けた。壊し方も徹底していて、あとは整地でもしたかのように綺麗サッパリ更地になった。
 誰もが思った。何かを探しているのだ、と。
 メッセージの解析に携わっていた若い学者の一人が、その様子からある確信を得てその単語の意味を導き出したが、そのあまりにもバカげた回答にチームの誰もが腹を抱えて笑い、取り合おうともしなかった。

 昨日、ついにシェルターも破壊されたが、すでに人々はそれどころではなかった。怪獣は首都までもうわずか半日の距離だったからだ。
 だが、そこで奇跡が起こった。異星人は「おお」と叫ぶと、来た時の様に不意に宇宙へと帰って行った。

 そして今日。廃墟を調査すると、探査船が持ち帰った、例の謎のガラス状の物体が消えていた事が判った。

「だから言ったじゃないですか。探してたのはアレだったんだ」
「黙れ」
「黙りません。議会に報告します」 
「ばかな。絶対に誤訳だ。ありえない。君の正気が疑われるだけだ」
 人類初の宇宙語翻訳プログラムが走るモニターには、えんえんと単語が並び、際限なく続いていた。

「メガネ、メガネ。メガネ、メガネ…」

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───おわり───

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